シャネル、グッチ、フェンディ、ディオール、ベルサーチ。私はブランドものに目がない。
　そして目がないというのは目がいかない、魅力を感じないということなのである。スーツなど着てみたら、これよ、これなのよとなるのだろうが・・、フェラガモの靴なども、足に吸い付く感じなんだろうが・・、家の夫は幸せ者だ。
　ジャンポールゴルチエやルナマティーノ(これは男ものか、しかもいまはもうないそう)は魅力的とも思うが・・とりあえず今は・・家の夫は幸せ者だ。

　洋服は消耗品です。思い出には残っても目が飽きたり徐々に入れ替わってゆく。そこへいくと着物は永遠だ。財産になる。

「今まで無駄な事してきたなあ、着物に凝っていれば残ったのに」

と後悔したのは１０年前。２〜３着物と帯を購入した今考えるに数回しか着ない、または一度も着ないということがわかりこっちの方が無駄だったと気付く。ローンはまだまだ続くしー。着物からは手を引く決心をする。本物のいーい留め袖を購入してからね。


　先日テレビでこんな番組を見た。街で無作為に選んだ若者に１００万円を渡し、５時間で使い切って下さいというもの。驚きながらも承諾したその若者は、欲しかった自転車屋へ行く。タイヤやハンドルを自分好みのものに替え、６０万のマウンテンバイクを購入。その他Ｔシャツ数点、デジカメ、テープ、缶ジュース１本、あとサングラスと買って１００万円を使い切った。感想はというと、自分が欲しいものには違いないが愛着を持って使っていけるかわからなく後悔していると言っていた。

 

　他に、金で心を悪化させた男、金に愛が負けた男、金で友達を消した男、金で思い出を言う音色を捨てた男、金で大人を買おうとした男（辞書を買えば、と言われていた）、そして金という魔の迷路をさまよった男と、金で何かに気付いた男は１００万円を返していた。

金で極楽気分を味わった男（３００万円でも大丈夫と言っていた）、金で過ちに気付かされた男、金で昔を懐かしんだ男、金で小さな夢を叶えた男、金の使い道に困り果てた男、金で童心に戻らされた男等々。今回の人は金で悔しさを味わった男ということだ。

　

 

私ならまず出版社に電話して本を出す手配をする。定価1,400円で600部、負担金４０万円(又は1,000部70万円)という件を承諾する。次に八王子そごうへ走り、知り合いがいる呉服売り場へ行き留め袖を捜す。長襦袢も、出来たら帯も。次に赤坂へ走り１０万円のタペストリーを。ビーズや刺繍がびっちり入ったもの。まだあまってたら赤坂東急でちょっと高い服とかアクセサリーでも見てみようかな。

　それを考えていたらほんとに結局一晩眠れなかった。

　服は魔物、人間の欲は果てしない。　　　　　　　おわり。