ティファニーブルー（お茶）

  　　

　家中の本を集めました。古本屋に出張引取りをお願いしたのです。
　子供は音楽の雑誌を沢山出してきました。
「もったいないけどもういいや」
と。
「しまいこんでいる漫画は？」
２人ともおきにいりがあるらしく
「それはいい」
といいます。

　私は「愛される理由」ときて「ダディ」ときて「盾」ときて「若気の至り」と開き直るヒロミゴーとユリエニタニの夫婦合戦も捨てます。これでいかにすごい決心かということがうかがえるというもんでしょう。夫も池波正太郎を捨てていいと言います。単行本も文庫本も沢山玄関に並びました。童話、絵本、シャ乱Ｑの写真集、教科書、参考書まで並びました。

　古本屋のお兄さんが到着して、まっさきにシャ乱Ｑの金色に輝く写真集を脇に押しやりました。
「これはだめなの？」
「こういうものは生ものなんです。終わっちゃったものはもう誰も買わない」
そりゃあそうか。女のタレントならそれでも売れるんですが男はだめとか。音楽の雑誌はページが切り抜かれていないかと厳重なチェックを一冊一冊します。参考書はもう古い年度なので役に立たないとか。教科書は大学ごとに違うのでと大学名を見事に当てながらも高額な教授の本がどんどん取り除かれていきます。池波正太郎はすべて長女が引き取りましたけど・・。2600円をいただいて、さあ、コレで本箱にアキができました。


　なぜ本箱にアキを作ったかと言うと・・。年末でもあり大掃除の始まりとも考えられるが実はそうではない。ウェッジウッド　インディア定価 6,500 円、padリチャードpadジノリ　イタリアンフルーツ定価 23,000 円、ミントン　ハドンホール定価 5,000 円、ロイヤルコペンハーゲン　フローラダニカ定価 120,000 円。店にはコーヒーカップ＆ソーサーがらたくさんある。こんなに種類もあるのに気に入ったものがみつからない。好きなコーヒーカップが見つからない。そして気に入らないのに値段が高い。いつか通販で見たオリエント急行の中で使っているというシンプルなものならいいかなと思ったが、その注文先はもうわからない。

　最初はブルーオニオンのセットを使っていたが、一つ壊れ二つ壊れしてとうとう使い道のない受け皿だけが残った。その後カップだけを買い足したりしたがそれさえすべて割れた。近頃では白いチューリップのようなコーヒーセット、九谷焼のようなコーヒーセットを飽きたらしまいもう一つを出すですごしていた。でも両方ともデミタス版でちいさいのよね。こんな生活もういや！

　ロイヤルドルトン　ブランブリーヘッジ定価 3,500 円、マイセン　金色の花定価 75,000 円、ヘレンド　アボニーグリーン定価 15,000 円、ヘインズレイ　エインズレイ　エリザベスローズ定価 7,000 円、エルメス　シエスタ　コーヒーカップ＆ソーサー定価 14,000 円。こんなにあるのに、縞や花柄のワンポイントばかりで、色もいまいち魅力がない。
　真っ白なものをイトーヨーカドーで買ってしまおうかとこの頃思っていた。でも買い物をしたら余計なものは自転車に乗らない。帰りにクリーニング屋さんへも寄れなくなる。いつもいつもそうやって少しずつストレスがたまっていく。コーヒーカップだけじゃない。ダイニングの椅子のクッションもほしい。スリッパは2回に分けて買ったけど・・素敵な土鍋もほしい。植木もほしい。手作りガラスの一夜漬けの入れ物は買ったけど・・布団カバーもほしい。車が欲しい。そう車があれば何でも運べる。こんな生活もういや！

　和物だと、伊万里、有田、唐津、波佐見、萩、信楽、清水、そして美濃、備前、常滑、益子、砥部、瀬戸、久谷、沖縄壷屋焼きとこんなにもある。興味深いものは作家物だ。ひとつひとつ手作りでそれはそれは凝っており、たまにいい食器の店を覗くとなかなか魅力的なものがある。しかし価格に魅力がない。当の作家としても愛着があり本当は売りたくないのではないかという値段だ。まさに展示品だ。

　今日もマグカップでコーヒーを飲んでいる。家族それぞれのカップが暗黙のうちに決まってくる。大き目のぐい飲み（ちなみにコレは私、ワインやお茶を飲む）、子供が誰かからもらったという大きいカップ（コレも私コーヒーの時使う）、5客セットの一つ残ったもの（この金色の模様がはげかかっているものは、夫が毎朝飲むコーヒー用）、二つおそろいで買ったものの一つが残ったもの（これは夕食時長女がウーロン茶から緑茶へと引き継いで使う）、次女はコップを使う飲み物ばっかりですねえ。


　さてえ、そんな折、好きなコーヒーカップが見つかったのです。それにしてもこんなにも好きなコーヒーカップが見つかるとは。満足度２００パーセントのコーヒー茶碗です。「あるものなのねえ。」そういうことに感心している今日この頃です。

　本を捨てて置き場を作ります。食器戸棚にガチャガチャとは入れられません。それで本箱にアキを作ったのでありました。そのカップはそりゃもう想像を絶する素敵さです。ヒントはプラチナ箔。きゃー。そして牡丹の花。きゃー。好きなものだらけの素敵なカップを初めて手に入れました。そのカップはもう２回仕事をこなしました。夫が出張で九州に行った時、体に良いからと勧められたという、しょうがと黒砂糖入り紅茶（黒砂糖がなかったので三温糖でしたが）。次はシンプル紅茶。

　これからたくさんいいお茶の時間をすごせますように！！ウフ！