ボン　ボワイヤージュ

こっちの通帳からあっちの通帳へお金を移動した。

パートの給料数年分のこっちから、マイナスがこんでいるマンション管理費のあっちの通帳へお金を移動した。今日はたくさんの書類に記入した。今日の日付から始まり、郵便番号、住所、電話番号、名前。店番、口座番号。金額の前には円マークを付けるのだ。

今日の本当の目的は新しい口座をひとつ作るということだ。そして名前を戸籍上の漢字にして他と区別したいと思っている。実はこれはマミ用のものであり、亡くなった後の通帳の管理は大変らしく、凍結などもあるそうで質問されたらどうしようなどと思いながら、カウンターの椅子に座った。隣の椅子にバッグを置く。中身のバランスが悪いようで落ちる。裏表反対にして置くが又落ちる。もう一回置くが又、。縁起が悪いなと思う。

名前の件を告げると、今はシステムが変わり全部戸籍上の字にして欲しいという。古い通帳の名前も変更することになった。用紙が差し出される。今日の日付、郵便番号、住所、電話番号、名前。店番、口座番号などの記入をする。新しい口座に使うハンコの印鑑証明の書類にも名前その他を書いて下さい、と今度は少し小さめの用紙を置かれる。

引き出しの際の手数料が無料になりネットバンキングができるサービスがあるという。手数料無料はともかくそれは興味がありパンフレットをもらったりしていたのでぜひお願いしたいと言う。

その後資料が送られて来たが、手を付けていない。（実は今思い出した。資料どこだっけ）

そしてそれは古いほうの通帳で利用したいと思う。

「ではこの書類に・・」

「はいはい」私は字を書くのが速い。

「あっ違った方の印鑑を押してしまいました。もう一回書いていただけますか」

「はいはい」私は字を書くのが苦じゃない。

新しい通帳も無事出来て、プラスだったこっちの通帳と、マイナスだったそっちの通帳が限りなくゼロに近づき、どんぶり勘定が得意な私は又新しい船出をする。

鏡の中のｍａｒｉｏｎｅｔｔｅ