一括問題

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ローンを組む、とした。
いつもは一括だが今回ローンを組む、とした。

 

『3回かな』

『6回でいいんじゃないか』

『月2万円か』

『いいね。じゃそうしよう』

と話はついた。

 

パソコンが立ち上がらなくなった。うちはパソコンがなければ生きていけない。二人ともパソコン大好き人間だ。すぐに隣の駅まで車を走らせる。安めのパソコンに決めたがなんやらかんやらで結局大そうな金額になった。

 

このところ残高不足のはがきが舞い込む。それはマンションの管理費から始まった。生命保険や損害保険からは電話がくる。家計が底をついたということか。あと半年を乗り切れば楽勝の年金生活になるのだが。

 

パソコンを決めてからクレジットカードを出した。

『一括でいいですか』

『それがね・・・』

と下を向いて話し出そうとした。金がないからローンにしようとしているのだ。はずかしい気持ちで下を向きそして前を向いたら係りが消えた。

 

隣を見ると指を一本立てた夫がうなづいている。

『どうしたの。一括って言っちゃったの?』

『それなんだが・・・』

と指を立てたらしい。もうレジでなにやら手続きを始めている。

今からじゃ遅いか。まだ間に合うか。

 

『なんで一回って指をしたのよ』

『そんなつもりじゃ・・・指たててたか』

『たててたよ、こうやって一本』

ひとしきりの小競り合いの後

『もういいよ、一括で。頑張ろ』

となった。係りの人には我らの葛藤は気づかれていない。

 

オレ金がかかるな、という。歯医者も毎月の薬も、って。
ゴルフやめるわですって。膝も心臓も心配だったから、ま、いいか。残高不足のはがきが又届いた。責められるな。電気、ガスの停止までいかないのがせめてもだ。

 

お花見も行かないと夫が言う。会費7500円だし。

『行っていいのよ』

『いいんだ面白くないし』

『そうですか』

私がフラメンコレッスンを辞めたのはそういう理由じゃないし。

 

自転車に乗らなくなったが、

家計は自転車操業だ。

うまい!


保険やがきた。

積立金がありそれはいつでも下ろせますと言う。

『それじゃお願いしようか。』

二人同時に言った。

 

かくして家計は安泰となった。

めでたしめでたし!!

 

 

 

 

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