ナイトトリップ（夜の散歩）

家の中で変な音がする。

べーべー言ってる。

聞いたこともない音の方向をさぐる。

ソファーのテディを歩かせる。

耳を澄ませながら後ろから廊下方面へと歩く。

脱衣所だ。何かのタイマーかすごい大きい音だ。

何かがいるとしたらイタチぐらいの大きさのものだ。多分。棒を持ちキンチョールを撒く。

バスマットやゴミ箱を廊下に出す。洗剤の入ったワゴンも動かして廊下へ出す。こっちへ出てきた場合部屋に入らないように台所や仏間や全部のドアを閉める。

脱衣所に戻るとテディがいない。

えっどこどこ、と探すと居間のソファーに座りかけている。ど、ど、どうして。なにしてんの。これから正体を見極めようって時に部屋に帰るってどうなのよ。何考えてるのよ！

どうどうと大きい声で怒ったね。

そうか、とか言って苦笑いで戻ったけど。私がイタチに嚙まれるかもしれないのに、信じられないよ！

結局何もいなくて、窓の外にいたカエルという結論になったけど。

翌日、前の家の石様夫婦が騒がしい。三日前にはＯ様の家にいた。昨日はウチの隣の竹やぶにいた。今日は石様の庭に入ろうとしていたと言いながら蛇退治をしていた。1メートル以上ある蛇を棒や水で退治して、Ｋさん方面の畑にエイッと投げていた。

毎日、テディが夕食の支度をしている時など、ジルを抱っこして２〜３分散歩をする。月を見たり星を見たり郵便箱を覗いたりして二軒先まで歩いて帰ってくる。ジルが怖がって私にしがみついたりするのがかわいい。時々爪がつきささるけど。

昨日、夜の散歩中、隣の空き地の竹やぶから先日の声がした。それはカエルではない。ひときわ大きな声で一匹のものなのだ。この深い竹やぶの中に何かが潜んでいることが判明した。

夜の散歩は怖いと判明した。