テレパシスト（もってる話）

掘りごたつ式のテーブルから足を抜き、座布団に立ち上がった。

まだ番号が読み上げられていないのに。

そして自分の番号札を皆に見えるように左右に振った。

まだ番号が読み上げられていないのに。

酒の仕業か気の置けない仲間との飲み会だからか立ち上がり番号札を皆に見せる、そんなパフォーマンスをしてみた。

保険の勧誘につながるパーティとは知らずに参加したが、刺身や鍋などテーブルに並ぶ豪華な料理に浮かれ、更にアルコールも飲み放題だと言う。この地は皆が車で移動するので酒なしでの集まりやカラオケに慣れてきていた。其処へきて今日は保険勧誘員のFさんの送迎なのでそれぞれがいろんなお酒を所望した。

くじで景品があたる。

手で持つ扇風機16番、水筒23番、などどんどん発表される。次からは写真に収まって頂きますという。景品の説明が始まる。

『ワイングラスで飲んで頂きたい日本酒です』

『それは私でしょ』

とばかりにそこで私が立ち上がったのだった。

それに気づいたひとは30人ぐらいの中でこのテーブルを除いてどれほどいただろうか。

数秒後、5番ですと発表され、

『あああ』

と笑って座ろうとしていたわけだが自分でも驚いた。

なんと手には5番の紙があるわけで、皆の前に出て行き『越後桜』を受け取り写真に収まった。更に一等賞の一升瓶『郷の誉』が当たったのはまたもやこのテーブルだった。写真に収まりインタビューも受けていたのはフラメンコのイザベラ先生でした。

このあと、カラオケに突入しシンデレラとなった。

『飲み放題、食べ放題、言いたい放題 おまけに 貰い放題🍷🍶🖐笑いが止まらない夜でしたね！』

帰宅後メールが来た。

その返事は。

『わたしたち、もってる？』

数日後、保険説明でFさんが自宅に来た。