☆チャイ原稿�D『ドントディスターブ』943文字

　家族の中での暗黙の了解というものがある。例えば前の家で家族四人だった頃のこと、風呂の脱衣所と洗面所の間のカーテンが閉まっている時は入浴中ということだった。子供部屋のドアが閉まっているときは中にいて、空いているときは留守の時、などと。それに倣い、こちらへ越して来て家族二人になってからも、テディの部屋は中にいる時はドアが閉まり、いない時は空いているとしていた。それでなんの不自由も感じずここ数年来たが、困ったことが起きた。

　早起きテディが起きると、黒猫ジル様が私のベッドからトコトコ廊下を歩きテディのベッドに座り込む。更にたまに吐く。いつ吐いたのか干からびたカリカリが付いていることもある。そこでジルはテディの部屋に出禁となりドアは閉められた。やれやれ、これで掛け布団カバーやシーツの急な洗濯から解放されたワイと思っていた。私が昼頃起きて閉まったドアを横目に一階に行くとテディの姿がない。風呂か？居ない！ということは二階の部屋か、どこだ、となる。私の場合は部屋の前で脱ぐスリッパで分かるのですが、スリッパを履かないテディの場合わかるようにどうにかしたいねと言っていた。

　お母様の部屋に溜まって行く、洗ったシーツや布団やベッドカバーなどをテディの部屋の押し入れに納めたいのだが、閉まったドアの前まで行きロビーのテーブルに置く、までする。私もそうそう二階に上がらないのでなかなかチャンスがなく、今か？と思って布団やらを担いでドアを開けた。下にいるとばかり思っていたテディが部屋にいた。パソコンの前でうん？と驚き、私はおやおや失礼と押し入れに布団をしまった。そこで、再度本気で考えようとしたら目の前にバッグチャームがあった。それをドアに掛けることを提案した。

　ドントディスターブ＝ホテルの利用客が「起こさないで下さい」という意思表示をしたカードがある。ドアのノブに掛けることによってルームメイドに伝える手法だ。それが掛かっているその時、客は部屋の中にいることになる。それを利用して部屋を出る時も入る時も、アレを外しドアを開け、閉めてアレを掛ける。居れば内側に、出る時は外側に掛ける。ホテルのドントディスターブとは逆になる訳だが、こっちの方が本人楽だというのは、やってみればわかるというもんだ。

オレがアレってことよ。

アレがオレか。

そういうこと️ｅｎｄ

☆チャイ原稿�E『クエスト達成』690文字

　最後はぎりぎりで時間との勝負だった。二〇一二年四月、準備をして材料をためてためて、一気につくろうと思ったーーーって何のはなし？寝ないで朝方までやって（ゴルフの見送りもあったし）二時間寝てから、（目覚ましで）起きて茶の木の成長を待つ。
　

　三本の木のうちひとつ新芽があれば大丈夫なのだ。ケーキ生地も生クリームもいちごもマジカルウィートも充分ある。あとはマジカルベーキングパウダーだけなのだ。このごろ何もゲット出来ていないので今回頑張ってクリア報酬としての『パーティテーブルミッキー』を庭に置いてやろうと画策した。クエストの終了時間と茶の木の成長の時間差は二十分。間に合うのだ。
　

　三本の木のうち新芽がひとつ出た。それで茶葉を作りロイヤルミルクティークッキー付きを作りたまに出るという切手を（出ないとは少しも考えないで、出たし）それを持ってマルシェに行きマジカルベーキングパウダーと替えてもらう。めでたく材料はすべてそろいドリームケーキラストワンを作った。

　ん？クリアにならない。どうしてか？？？

　イベント終了まであと二十分でアウトが決定した！ドリームケーキを五個作るのに熱中しすぎてドリームケーキを二個食べるのを忘れていた。ぬけさくだー。二個食べるには二日必要なのだ。キッチンでしりもちをついているようにすわりこんでいるマイピグ。

　イベントの終了時間と同じにサーバーリフレッシュが始まった。

　続　『そういう時は広場に行って食べさせてくださーいって叫ぶんだよ』

とのアドバイスありで、再度こしぬけ状態になる魔女ジュリエット。

とは、パソコンゲーム『ピグ』のおはなしでした。ｅｎｄ