ウィッチクラフト（夢の架け橋パート２）
ええっそんなものがあったなんて。
ウッソー、信じられない。
でも私も聞いたことある。
ホントだとしたらステキね。
それは森の中にあるそうよ。
原宿駅を背にして明治通りを渡ったあたり。
それってガーデンカフェのソルシエールがあるところ？
そうそう、その森の奥にあるんですってよ。
ソルシエールユニバーシティという学校は森の中にある古い洋館である。なぜ人知れずあったかというと、あまりに深い森の中にある為と思われる。校舎に近づくといい匂いが漂ってくる。よく見ると、そこここにハーブが植えられている。ミント、ローレル、セージ、ローズ、コリアンダー、ライラック、ゼラニウム、シクラメンなどが認められる。これはとても重要な授業の材料として育てられているのです。理科と化学を受け持っている、看護婦でもあるエビアン先生と生徒達が毎日世話をしているので生き生きと、緑がとてもきれいに育っています。
ここへの入学に関して年令制限はなく、魔女に興味があり勉強したいと強く願う人にのみ、運命の扉は開く。調べたりそれと思われる人に聞いたり、努力をした人、行動を起こした人だけに。ちょっと楽しいかもとか興味本位の人には、結局手は届かない。入学した当日から勉強が始まります。理科の時間は先ほども紹介しました、エビアン先生の担当です。ハーバルマジックと呼ばれるハーブの栽培をしましょう。
よもぎの葉のジュースは、ほんのひとさじ飲むだけで、疲労回復に役立ちます。葉を一枚、靴の中に入れておけば、遠出をしても、足が疲れません。ういきょうの根は、スープにすると、病気などで体の弱っている人の、体力づけになります。薬用サルビアの花びらは、せんじて飲むと、いやな思い出をわすれることができるといわれています。そのほかしゃぼん草、ぎんばいか、ヘンルーダ、ひれはり草、香水はっか、などの効用はみんな魔女図鑑にのっているのです。
ナチュラルパワーはまだまだあります。シャキッとリフレッシュしたいときにはイチョウ葉。気分が落ち込んだときには、セントジョーンズウォート。パソコンなどで疲れたときにはビルベリー。ブルーベリーの野生種がビルベリー。パソコンに長時間向かう人などに注目されているハーブです。ゆったりリラックスしたいときにはグリンティー。
平安時代に日本に伝わって以来、普段何気なく飲んでいる緑茶グリンティーも、いわばハーブなのです。ぐっすり眠りたい夜にバレリアンルート。リラックス効果を得る目的で１０００年以上も前から人々に愛用されてきたというハーブです。
そして毒草の研究。ベラドンナ、アラム、ひよす、トリカブト、きつねのてぶくろ、プリオニア、カラー（アラムの一種）、ひめむらさき、ごま草、はりやま草、たばこ草、においしょうぶ。毒草は、危険なものとしての知識としてとても重要です。絶えず切らさないように育てます。
倫理の時間。ごまかしのテク。追いつめられたときに、話題をすり替えたり、ウソをついたりして、 うまくごまかすときに使います。あまりいいことではありませんが、 この方法だって、争いになるよりはまだいいというひともいます。 この能力は自分をごまかすのにも使えます。
いじっぱりの能力。意地をはるのに使われます。どうしようもなくなって泣き出したく なったときも、この能力を使えば、逃げずに歯をくいしばって耐えることが できます。反面、この能力が高いひとは、人の意見をきかず意地をはる 傾向があります。
礼儀作法。食事のマナーやあいさつ、精神的な気品を表す能力です。この数値が高いと、 礼儀知らずといわれることもありません。また、身分の高い人と話をするときや、 上流階級の家の食事に招待されたときなどにも役にたつことでしょう。すてきな笑顔。誰からも愛される、すてきな笑顔をもっているひとが持つ能力です。 あらゆるひとの心を開かせ、仲よくなることができます。ここはいつも、マリア先生の声が一段と大きくなるところです。
そしてフワタといわれる占い。占い自体は外れることも多く、 絶対の能力というわけではありません。カルトマンシー（カード占い）スクライング（水晶占い、鏡うらない）の他にキエロマンシー（手相）テッセオグラフィー（紅茶占い）などがあります。ひととおり勉強します。魔女の勉強も結構ハードでしょう。
家庭科の時間です。先生はスペイン人の、ミセスバージェです。食べ物に関する知識や、料理を おいしく味わう能力も学びます。ラベンダークッキー、カモミールティー、バジルスパゲッティー。そしてくもの巣ケーキ。
この作り方としては、まずスポンジを焼いて、チョコレートをかけます。その上にホワイトチョコレートでくるくると外側から円を書きます。次に中央から外に向かって放射状に何本か線を引きます。立派なくもの巣ができたでしょう。アクセントとして半分まで切り目を入れたレーズン数粒を適当な場所におくと、くもの巣にかかった獲物となります。これらはガーデンカフェのソルシエールで食べることが出来ます。ドレンチェリー、レモンピール、アーモンドダイス、アラザンなども使って独創的な、街のケーキ屋さんでは見かけないものが作られています。４月３０日に行われる祭りは、ベルディーンといわれます。ワインまたはエールを飲み、ムーンライト・ケーキという塩抜きの三日月のケーキを食べます。
お裁縫。洋服の破れをつくろったり、あるいは服などの布製品をつくることができるようにします。ソルシエールのショップにあるナイトウエア、ドレス、マントーまで実はすべてここで作られていたのです。
国語の時間。担任は世界中の言葉を話すことが出来るビビアン先生です。彼女は動物とさえ話すことが出来るのです。魔力を持った魔法文字を読んだり魔女だけが使う魔法文字を書くことができる能力、特定の人にしか読めない文字、 一定時間のあとに、消えたり浮び上がったりする文字、 あるキーワードや条件に反応して浮び上がったりする文字、 読む人によって内容を変える文字などを書くことができるようになります。
数学の時間。担当はヴィクトル先生。なんと彼はまだ八歳なのです。魔法円のしくみや、本質的な性格を表している運命を支配するバースナンバーと言われる誕生数の計算法を身につける。名前のアルファベットを１から９までの数字に当てはめ、生年月日も西暦で足し算をして数字を探し出します。
少し眠くなっちゃいましたか？では体育の時間です。
ほうきに乗って空を飛ぶことは魔女の最も基本的な魔法です。 どんな間抜けさんの魔女でも、ほうきで空を飛ぶことができるのです。魔女はほうきで空を飛ぶとき、パートナーである猫を乗せていないと、バランスが保てず、ひどい飛び方になってしまいます。猫に乗ってもらわなくてもうまく飛ぶことができなくてはなりません。魔女夜会や ワルプルギス祭 には猫をつれていくことはできませんから、仲間の魔女に笑われぬよう、この能力は持っておきたいものです。
担任は若くて元気な、ライフセーバーの資格を持っているオリビア先生です。
ドイツ、ハルツ地方のブロッケン山にあるシールケ駅は、人口１２００人ですが、祭りの季節には２万人になるそうです。それは年一回行われる「ワルプルギスの魔女の祭り」に集まる魔女と見物人ということです。そして修学旅行にはここを訪ねることになっています。マン島のニューキャッスルにある魔女博物館も訪ねます。当日は、全員がほうきに乗って猫いらず飛行で深夜零時に出発します。月明かりの中、くらい夜空に一斉に浮かび上がり、西の方角へと動き出す。それは多くの人が目にすることができる幻想的で素晴らしい瞬間です。にもかかわらず翌日には誰の記憶からも消えてしまうという不思議なものであるのです。
ソルシエールユニバーシティを卒業した魔女は、都市の中でハーバルマジックにいそしみ、タロットカードを持ち、ムーンライトケーキを焼き、キルトをして人にそれと気付かれず静かに生きる。しかし近頃、魔女達は静かに連帯をし始め、自分の内に抱え込んだ緊張を分かち合おうとする。彼らは箒に乗って集会に出席するのではなく、コンピュータ通信や出版物を通じ、電話回線を使って一瞬にして世界を飛び回る。都市に魔女が生まれつつある。
ウィッチズタロットカードは、やはり１番目である魔術師ではないでしょうか。意志の力を結束して、魔術師は技を行う。そのかすかな微笑みの中にも、彼の偉大な力が隠されている。頬に刻まれた青い星と月は、彼の予知した、人々にはまだ知られていない様々な出来事の象徴である。 おわり。
