京都エッセイストクラブ「クラシカルコンシエルト」感想文

○ 作者の文体から流れるのは、何か海の見えるテラスでデザートを食べているような雰囲気を醸し出してくれます。それでいて家族のつながりもさりげなく書かれていてさわやかな読後感です。Ｈ

○ つかの間の気取った時間、それはコンサートなんでしょう。双子かなと思われる姉妹が久しぶりにそろってコンサートにでかけ、別れるまでの時間が、冒険の楽譜のめくり方という意表を突いた形のしゃれた入り方で書かれています。そして、さりげなく過去の思い出が語られ、時の流れを暗示しています。人生そのものです。Ｎ

○ 上品で優雅なエッセイです。竹内まりやはともかく工藤静香を歌う姉妹はどこかしゃれていて、うらやましいです。「妹から・・・提案がありました」のところはこれまでの文の調子から少し気になりました。「妹が・・・みようという」とされたらどうでしょうか？最後の「クラリネットのやわらかな音」と「昔」が頭の中によみがえっていましたという終わり方、秀逸です。Ｋ

○ ある程度年齢を重ねた仲良しの姉妹はいいですね。お互いにプレゼントを贈りあい一緒にコンサートを聴き、夜まで遊ぶなんてとても男兄弟ではそこまでしません。上野のコンサートから代官山のライブの話に飛んだ時、場面についての理解ができず何回か読み返しました。最初の段落で「妹と来ています」と書き加えてもいいのではないでしょうか。Ａ

編集長の独り言

大手の自費出版の会社が倒産した。いま自分史ブームで自分の書いたものを本にしてみたい人が多く居る。人生を振り返りそれを本にして、それが書店に並べば夢のようだ。が「約束とはちがう」というトラブルが多発している。金をかけて、なにも自分ひとりの本を作らなくても当クラブのような冊子に書かれることをおすすめする。どんな本も古くなれば古本。当クラブの本は、常に新鮮な作品を提供している。月謝を払って文章教室に行っている人も多い。それもいいが、どういうわけか、講師の好みに合わせたような作品になりがちだ。

★２７号テーマは「えん」です。ひらがなの「えん」です。拡大解釈してもＯＫです。お金の「円」でも、「百えん」とすればよいわけです。皆さんのそれぞれの「えん」を待っています。エッセイの「アンデパンダン」京都エッセイストクラブでは書きたい人を求めています。