マイフレンズ（遠征）

春の気配が感じられるこの頃です。
きょうもポカポカという感じの天気で・・・。
そんな中、墓から中継が入る。

「今駐車場に着きました。これから探検です。」
「正面の階段を上がりました。」
ではずっと奥まで行ってください。次の階段の手前まで。
「５〜６段の階段ですか？」
そう、そのすぐ手前を・・・。
「あったー。ありましたよ。白い椅子が見えます。」
そう。あった。
「ありましたよ。フェンスの方ですよね。」
「前まで来ましたよ。到着です。」

その日は保母さん達が卒園式の報告に来てくれている。保護者から先生に贈られる花束とお菓子を持って。Ｍｏも、「ゴンファレナ・アルテルナンテナ（紫こんぺいとう草）」というかわいい植木を持って来てくれた。Ｍは１7歳でバイク、１9歳で車の免許をとっていたが、ＭｏとＮｏは夏のバイクに続き今年3月、車の免許に挑戦しているそうだ。

「ほんとのことを言うと葬式に行って欲しくない」
と言われた人がいる。出棺に立会い教習以来の高速道路運転で墓参りに行った、彼女と別れた友達が家に寄る。
「それは売れないなあ」
と言われた時のことを思い出した、と話をしに来てくれる。
昔パパに頼まれたタバコを買いに行った時
「セブンイレブン下さい」

年賀状は出しても来ないと言う。
「来年、来年」
と言われるそうだ。
「返事来たか？」
ともう一人に聞く。
「ううん」
とわらう。

「欲しがっていたものは何ですか？」
仏壇と乾杯したり、自分が食べる前に、おまんじゅうを供えたりするのを忘れないＳから質問がくる。なにか形にのこるものでと言う。そういえばあの子は何も欲しがらない。各自考えるということで返事をする。

「この一年を考えると早すぎる」と言う人。
「二十歳からは時間が経つのが早く感じられたけど、この一年は長かった」と言う人。
長い時間が早く経った。

「Ｍがいたら、今年は何組みサンになっていたかなあと考える」
薄緑色のバラやスイトピーに白いガーベラというステキなブーケを持ってきてくれた保育園の先生であるＣちゃんは言う。やっぱり年長さんのさくら組さんかなあ。


高校生の時のいろいろな写真をコピーして、それを切り抜いて貼り付けて　『ＭＹ　ＦＲＩＥＮＤＳ』　と名前を付けてＢ４版サイズにまとめる。何年も前にそれをもらったと言って捜し出し持ってきてくれた。それは色が変わっていた。そして壁に張ったのであろう証拠の、四隅にあいた鋲のあとが笑えた。

ロッカーのＲがコンサートのチケットを持ってきた時、さらっと眉毛カットが始まったことがあった。黒スーツ姿のＲは居間の床に座り、ダイニングテーブルに頭をつけてライブの話をしながら、Ｍは毛抜きを使っている。
「アッごめん、変になっちゃった、あっはっは」
「だいじょうぶー、明日はライブだよー」
と言いながらも大して気にしている風でもなく、されるがままになっている。信頼で結ばれているお友達っておもしろいと思いながら、台所からこの風景を眺めていた。このＲも鋲で囲まれたＢ４版　『ＭＹ　ＦＲＩＥＮＤＳ』　の中にいる。

「高校生の時までとは言わない。けどもし時が戻るなら一年前の５月１０日に戻してほしい。２４回目の誕生日を迎えました。Ｍちゃん、これでやっとおいついたよ。この日に会いに来れてよかったです。世界は違えど共に成長していこうな。２５回目の誕生日、２６，２７，２８・・・・毎回、会いにくるから。」
Ｓが墓に置いてきた手紙と、ドラゴンボール。何かが揃うと願い事が叶うとか。家から帰るとき、「Ｍちゃん、また来るよ」とＭの部屋をノックする彼は、それが７つ揃った時、何を願うのか。

パヌンとは、モン語でパァ（paj ＝花）ヌン（hnub＝太陽）、つまり「ひまわり」のこと。東南アジアの国、ラオスの山岳民族、モン族のおじいさんがつけてくれた私の名前です・・・そんな文を見つけました。今、考えると男女関係なくお友達になる・・・明るい・・・ひまわりのような・・・そんな子だったんだと思います。

桜が咲いて散った。一周忌まで一ヶ月を切った。