世界最大の渓谷グランドキャニオン（２５年前の私）

 

 

１ドル３６０円台の頃　海外旅行なんてまだまだ先のことと思っていたら、友人が旅行会社の懸賞に応募をした。クジ運の悪い私は当る訳がないと思いながらも一緒に応募したら、なんと２人共大当たり。無料ではないが５泊７日で費用すべて１０万円。今ならめずらしくもないが、25年前の事。

　　　　　　これは行かねば!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

そしてUSAへ　そしてグランドキャニオンへ・・・・

その前にラスベガスに降りた。暑い−　なんと外は４０℃　まるで西部劇を思わせる熱風が吹き、藁や砂が風に舞っている。　暑さのあまりちょっと立っているだけで倒れそうになった。砂埃の先に荒野の7人が見えてきた・・・まずい幻覚が・・ホテルへ行こう。

明日はいよいよグランドキャニオンだ。

 

前日ラスベガスのホテルで見た眩い華麗なショーが目にやきついたまま　セスナ機で青空へ飛び立った。しかし、それ以上のショータイムが幕を開けた。

 

雄大な渓谷が目に飛び込んできたのだ。行けども行けども変わらない景色、どこまで続くのだろう。数億年に及ぶコロラド川の浸食と、地層隆起作用によってつくりだされた全長４６０ｋｍ、深さ１６００ｍの大渓谷。すごい・・・あとは声も出なかった。これも現実の世界、いや歴史との出会いである。

 

まるで大空を自由に羽ばたく鳥になったようだ。

と、その時・青空が突然消え、断崖へ一直線の急降下。ぶつかるー・・ブーン今度は

急上昇だ。そして左に右に傾くセスナ機　まるでアクロバットだ。

葉巻をくわえたパイロットの背中が笑って見えたのは私だけだったろうか？

私の背中は冷や汗でびっしょりだというのに・・・でも最高に興奮している自分もいた。

着陸してすぐパイロットが言った。

「喜んでくれたかい？僕はうれしかったよ。だって無事に到着したからね」

本物のアメリカンジョークだ。

 

背中の冷や汗が乾いた頃　展望台に到着。上空からとはまた違った景観が時間を止めたように感じた。あまりの雄大さにあの時は何を考えていたのだろうか。心臓の鼓動だけが聞こえた憶えがある。

　

どのくらい時間がたったのか、気が付くとふと自分に語りかけていた。

人が作り上げたものは相手に感動や感謝を伝えられる。しかし自然が作り上げたものは誰に伝えたらいいのだろうか。相手が自然なのだから返事も返ってこない。だからこそ心に残りつづけるのだろう。　

 

そう考えると自分はなんてちっぽけなんだろう　人に感動（答え）を求めていただけで与えてはいなかったのでは　もう25歳、本当の意味での心の広さをもたなければ！

　大自然の力は、こうして石よりも硬い私の心をやわらげてくれたのだ。

心の中でお礼を言った（ありがとう　やっと大人になったよね私）

 

　25年前の自分を振り返る旅もなかなかでしたよ。

 

著者　もうすぐ５０歳になるOL