デヴュー（パスポート）
滝川クリステルが言う。
『観光ガイド事務所「アドベンチャーガイズ」（東京都千代田区）に１７日入った連絡によると、静岡県の旅館お手伝いをしている阿部マミさんが同日、７８歳1か月でヨーロッパ地方へ出掛け、ドイツ、フランスへの初外国旅行を果たしたということです』
安藤優子が言う。
『静岡県で旅館仲居をしている阿部マミさん、なんと７８歳で初外国旅行を終え今日無事帰国した模様です。それでは成田空港の吉田さん、お願いします』
『では、次です』
「ほっといてくれれば１００まで生きるよ」
が常套句のマミさんを説得し
「そうだね。行ってみようかね」
と言わせた。
その気になったマミのまずパスポートを間に合わせなければならない。私は仕事があり時間が足りない。それにこの頃少し貧血っぽくてヨーカドーの店員に「そこらへんで倒れていても心配しないように」などと声を掛けたりしているありさまだ。それに引き換え妹は元気があふれている様子で、何でも手伝うから何でも言ってちょうだいといつも言う。いつかパスポートを取るときはマミ一人では大変だから手伝うと言ってくれていたことを思い出し妹に助けを求めた。
『こんばんは。さてマミのパスポートを大至急で取りたいと思います。申請のお手伝い願えますか？了承いだだけたら先にすすむ→→→マミの謄本、住民票をとっていただき、パスポート用写真を撮り、申請場所（熱海か沼津）へ持ってゆく。これを最短でお願いしたいのです。マミには今電話しました。Ｅ（長女）に便乗のドイツ行き、４日出発を１１日に延期してもらっても交付までには２週間ぐらいかかり、ぎりぎりアウトっぽい。どうしよう。どうしよう・・・』
とパソコンで打ってみてやっぱり電話の方が早いと子機を手にする。
0221＜行けるかなあ。心配。。。＞今日は急なお願いをしてしまいました。明日はよろしくお願いします。Ｙおばちゃん、ＡっちゃんもドイツへいかがとＥよりお誘いがありました。さあ、どうしましょう。まりあ
0221＜Re>行けるかなあ。心配。。。＞「まかせてちょうだいＹ子」
0221＜ありがとう＞ありがとうございます。よろしくね。まりあ
妹はマミのパスポートをとる作業にはいる。明日やると張り切ってくれている。一緒に役所に行き、住民票と謄本を取り、どこかで写真を撮り、電車で所轄のセンターへ行く。これをを１日で済ますため朝早くマミを迎えに新横浜から新幹線に乗りタクシーを乗り付ける。
１日で片付けばあと二週間後の旅行に間に合う・・・つまづいた。謄本は本籍地でしか取れない。ううぅマミの本籍地は目黒だ。今日１日ではできないことが判明した。今日できることだけをとりあえずやっておこう。役所にある書類に記入する。役所からセンターに連絡して説明も聞く。一言一句逃さぬようにとメモを取ったそう。センターにマミを何度も行かせるのは大変だから受け取りの日だけにしよう、などという配慮もし、代理人申請の方法なども詳しく聞く。小さい手帳の欄外にいろんな書類の聞きなれない名前を書き込む。
0221どうする？本籍地で謄本を取らなければ今日は申請できません。でも私がとりにいって申請することが可能なの。３月１日がぎりぎり間に合う申請の日だから日にち的には余裕あるよ。私の迷いは３月２０日より制度が変わるので５年のパスポートを勧められている事。今、両方書いておけばいいと思いつきました。起きたら電話を下さい。Ｙ子
パスポートは５年と１０年がある。又５年後にパスポート申請はきついので、私はどうせならと１０年を勧めているのだが、役所の人は今年３月から空港の事情が変わるのでなるべくなら５年にしておけと言うらしい。それで２パターンの申込書に記入してマミにも自署という場所何箇所かにサインをさせて・・・と役所で大騒動だったらしい。マミは目がいいのでサインもしっかりできるからよかったとはいうものの。
写真を撮る場所もあまりないらしく役所で聞いた場所まで歩いたとか。道を間違えかなりの距離を歩いてしまったとか。マミは足が丈夫だから大丈夫とはいうものの。
「チョット疲れさせたかもしれないけどマミと久しぶりに会えてお昼ご飯食べられてよかったわ」
などと言ってくれる。そんな妹は翌日、謄本を取りに目黒区役所へ行ってくれた。
又その翌日、妹は新幹線で熱海か沼津へ行ってくれるのだ。
0221＜熱海＞ 申請書に自署という場所があるのでマミと一緒に熱海をすすめる。代理でも出来るけど、証明できるものが必要だったりするし。本当に迷惑かけてごめんね。まりあより
0221＜ＲＥ熱海＞ わかりました。そうします。ところでＨ美ちゃん夜中ずっと起きていたの？もうゆっくり寝てね。多分もう連絡するのはすべて完了後にメールを入れる時だから。私は今、目覚ましが鳴っておはようです。Ｈ美ちゃんはおやすみＹ子
私は変則の睡眠をむさぼる。ここんとこ完全昼夜逆転だ。これは先行時差ぼけ解消法か又はトリノオリンピック用か。３時２５分（午後）に起き３時半（５分後）からの仕事にすべりこむ。この頃目覚ましが聞こえない。電池を新しくした２つの時計をオンにし、携帯電話のアラームセットをしている。音量はもちろん最大の５、鳴動時間は６０秒、アラーム音はサウンドライブラリで夜な夜な集めた「「ＳＮＯＷ！ＳＮＯＷ！ＳＮＯＷ！」「Ｅｖｅｒｌａｓｔｉｎｇ」などなどから「Ｎｏ Ｒｅｇｒｅｔ」にしている・・・というのに聞こえない。バイブ機能もスヌーズもあったもんじゃない。
0223＜手続き完了＞ 旅行センターを沼津にした方が便利なことに気付き、そちらに２人で行ってきました。３月６日の受け取りになり、これは母一人で行く事になりました。すぐに旅行申込をして下さい。Ｙ子
0223＜ダンケ＞ マミが喜んでいました。本当にお疲れ様でした。パソコンも見て下さい。ではまりあでした☆☆☆
0223＜手続き完了！＞「今日は少し暖かくてよかったですね。沼津の方が便利だったのですね。無事受理されて交付日も決定とはうれしいです。ホントに急なお願いをきいてくれて奔走してくれてありがとうね。今日旅行の申込みも済んだということです。日程やルートなどマミに郵送しようと思っています。マミが暖かいズボンを買ってもらったと喜んでいました。優しいＹ子さん ありがとう！！！まりあ」
0224今風呂上りでメールを見ました。いよいよ旅行は決定現実なんだよね。初めての海外旅行が７８才でいきなりヨーロッパってすごいよね。マミサンの事くれぐれもよろしくお願いします。Ｙ子
新婚旅行で鬼怒川温泉にいけなかったことを知り、私と妹が社会人となった頃両親に熱海の温泉旅行をプレゼントした。その頃新婚だった妹夫婦と沖縄旅行をした。このふたつで父の思い出を語る母。人生を振り返る時、日々のとめどない洪水のような思い出の中に光るもの。それは旅だ。間違いない！妹は母と去年北海道旅行をした。おととしには伊豆旅行もしている。そして今年はお姑さんとお姉さんと木曽路へそのあとは京都旅行へも行っている。私はマミをハワイに連れて行きたい・・その前にとりあえず京都へ連れて行かなくちゃ！！とも思う。
このあと妹からの、寒さ対策、持ち物などの細かい指摘にチョット舌をまく恩知らずまりあでありました。
2006ハガツサアフターザマリアCh part15
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マミの持ち物リスト |
日 程 平成１８年３月１２日（日）〜１９日（日）
行き先 ドイツ（フランクフルト・ミュンヘン）、フランス（パリ）
マミの初外国旅行 歌集を持って出発だ。ヒコウキで歌う？歌えないから見る？まるで遠足のようだ。ペギー葉山の「南国土佐をあとにして」が得意なのだそう。「アリコの終身保険」に入ったと言う。まだ一回目払っただけだけど、受取人は長女であるあんただから覚えておいてねと言われた。証書を預かった。
帰国して我家に二泊したマミを、翌日東京駅まで送るために妹がやってきた。私達のお昼ごはんにとでっかいおにぎりをたくさんと唐揚げ、詰め放題のポテトを持って。東京駅から乗り込みマミを座らせ自分は新横浜で降りる。その時マミの元にはおいなりさんや鱒鮨やパンがあり当座の夕食朝食には困らない。ああ、いたれりつくせり。シアワセなマミものがたり・・・・・。
＜ただいまメール＞Ｅばばまりあ１１時無事帰宅しただいま寿司パーティも終わりました。明日はのんびりしています。楽しかったようううう。お土産話は又あとで。。まりあ
＜おかえり＞楽しくてよかったね。疲れているでしょうから、ゆっくり休んでね。明日は彼岸の為○○のお墓まいりに、お母さんと○○子さんと行ってきます。夕方までに帰ります。そして火曜日にはマミを迎えに行くね。Ｙ子
＜お見送りご苦労様。無事着いたみたいでいなりや鱒鮨やパンも喜んでいましたよ。ありがとね。まりあ
＜サンキュウ＞お土産沢山いただいてしまいありがとう。ポーチと財布はＡのものになりました。ハラハラワクワクの旅行の話も聞けてエッセイも楽しみにしています。でもマミサンがＨ美がぜんぜん寝てないのよと心配してたので、しっかり休養をとってからにしてね。それからＥちゃんには一緒に行ってくれて感謝しています。とても頼りになったと聞きましたよ。お疲れ様でした。じゃ、またね。Ｙ子
そうしてひとりで伊豆を目指すマミが、仕事で同行できなかった夫にさよならの挨拶をした。
「旅行に行かせて頂いてありがとうございました」
「疲れたでしょう、ゆっくり休養してください」
ソファーに座っている夫の前に正座したマミは、頭をすりつけるようにおじぎをしお礼を言った。
「楽しかったです。本当にありがとうございました」
その光景にちょっと驚き涙が出そうになってしまった。
ソファーから立ち上がるときなど
「シートベルトをはずさなきゃと思う」
「いまでも背中にリュックがあるようだ」
と言うマミと、電話で笑った。。
パスポートのインターネット申請制度が住民基本台帳ネットワーク稼働に伴って実現したが、利用率低迷で、１冊当たりの費用が１６００万円かかっていた。財務省が無駄遣いの有無を点検する予算執行調査で、廃止の検討を求めた旅券（パスポート）の電子申請システムについて、外務省は１０日、来年度予算の概算要求に盛り込まない方針を明らかにした。電子申請の受け付けは、本年度末で中止される見通し。2006/7