CYCLE　１７　ご帰還


帰ってからパリの地図が読めたと、分かったのよと母の言う。
「いつもあの場所に出るでしょ。一寸来てここを曲がってこうくれば果物屋さんもあるあのホテルの前に出るのよ」
私には分からないがその言い方はわかっていると娘の言う。迷ってタクシーに乗ったときも運転手に散々あちこち回られちゃったけど今ならわかるとばあばの言う。今でも分かってないのは私ひとりかよと私の言う。

＜地図が読めるか否か。巴里の地図読み。脳の働きの違いで、男と女の得意分野が違うのだと「話を聞かない男　地図が読めない女」には書かれています。男は一つの事にしか集中できない反面、空間認識に優れ、女は色んな事を同時にできる反面、地図はいちいちひっくり返さないと読めない。これは性別特有のことではなく、脳の働きのことで、男脳と女脳の働き方の違いらしい。＞

起きた時ここはどこ、マミがいるから何か食べさせなきゃとか、昨日は１日ゆっくりしたが今日は何時に朝食か、集合は何時？そうか日本だ。終わったんだ。マミは田舎に帰ったんだっけ。そんなこんなの危ない状態が一週間たっても続いている。毎日書いた絵葉書が帰国後ばらばらっと届く。
長女はもう地図は見たくないと言って資料全部を居間に置いた。私はこれでこれから文を書く。それにしてもマミさんよく歩いてくれました。お疲れ様でした。長女にもお礼をいいましょう。私達ふたりの面倒をみてくれてありがとう。お疲れ様でした。



　　　　　　＜パリ・シャルル・ドゴール空港＞　　　　　　＜東京国際・・成田エクスプレス＞