サンクチュアリ（エレクトリカルパレードエクスペリエンス）

　

　「テーマをあげようか」 と会社から帰った夫が言った。
　「ウン頂戴頂戴。なあに」
　「ディズランとかって家はいろいろ省略して言うじゃない。あれを書けば？」
　「それはもう書いたって」
　「そう？じゃインパクト無いんだよ」

　『2001年ウィザード』「カンバセーションピース・家族の肖像」で書いたって。
　忘れてるってそりゃないでしょう。
　インパクトが無いってそりゃないでしょう。（2003年1月）


　ご近所の新婚さんが訪ねてきました。
　ある夏休み、夫の実家へ行った時のことです。その新婚さんは明日ディズニーランドへ行くそうで、車で行くので一緒に行きましょうと誘ってくれました。ウチはまだ行ったことがなかったので連れて行ってもらうことになりました。お父様におこづかいをいただいていざ出発です。一度目は自分が子供の時、二度目はデートで。三度目は子供を連れて、一生のうちで3回行くというディズニーランドは数年前に開園していました。

　その頃たしか４歳から有料だと思ったが、次女はこぶりなので「もし聞かれたら３歳と言うのよ」と教えてゲートをくぐり入場しました。まあ、聞かれなかったけど。新婚さんとはそこでお別れです。だってなにしろ新婚さんだから・・。ま、とにかく、アドベンチャーランドへゴー。
　カリブの海賊に乗る。乗り物が動き出してすぐストンと落ちる所があって次女泣く。魅惑のチキルーム。ウェスタンランドを歩き食事をする。ファンタジーランドではイッツアスモールワールド白雪姫と７人の小人、ミッキーマウスレビュー、ピーターパン空の旅。トゥモローランドを歩き、なんとかっていう光りの行列を見て、人に足を踏まれ次女泣く。

　私達夫婦はスリルのある乗り物が怖くて乗れない。
　後楽園デートで飛行機が紐で吊り下げられているものに乗ってしまったことがある。上下できるようになっているのだがそのボタンには2人ともさわらず、ただ下界へ降りることを願って回り続けた。怖くて息もできなかった。幸い子供たちが小さかったこともあり、ここでは怖くないものばかりを選んだ。私達夫婦は並ぶ事も嫌いだ。並んでまで食べるラーメン屋とも無縁だ。

　「２人で行ってくればいいじゃん」
　「楽しいよ」
　「今、ハロウィーンでかぼちゃの祭りだからママに丁度いいじゃない。行ってくれば？」（かぼちゃがちょうどいいのではなく、こうもりや魔女の扮装がたくさんというところを言いたいのです。念のため）
と長女は勧めてくれます。でも一緒に行ってくれる気配はないです。

　次女には写真係でついてきて欲しいとも言われましたが、決まる前にもう行ってしまいました。子どもたちはディズニーランドもディズニーシーも数え切れないほど行っています。まあ私達が行ったところで怖いおもしろい乗り物には乗れないし、待ち時間は嫌いだし、歩くのもしんどいし・・ウチでテレビでも見ていたほうが・・となるのではあるのですが。

　あの時は夢の中に入り込んだように楽しかったけど、ランドの中の雰囲気はわかったしもういいとも思った。気がつくと、夢の国、魔法の国、ディズニーランドへ行ったのはかれこれ２０年前です。しかもこれ１回きりです。こんな日本人っているでしょうか？

　はい、いました。それは私です。私と夫です。
　きれいだったなあ・・。
　なんとかイリュージョン・・と花火・・。