エル カスティリャーノ

 

 

 

 

 

 この日私はトシも忘れてモヘアの半そでセーターを着ていった。

途中で寒くなってきて、店を出たときには震えた。家に帰りついたら熱が37度7分と本物だった。それから18時間寝た。サングリアも飲み過ぎた?

 

「あ、そうですか。お会いしましたか」

彼と初めて会ったのは2年前、場所は成田空港でした。でもその時のことは覚えていない様子でした。私達3人を招待してくれたのは、ビビアンのご主人です。私は“金八先生似のご主人”とスペイン旅行記に書きました。顔も髪型も、ときどき頭をふっての話しぶりも、本物の先生ではあるのだけど、そっくりです。



 本場のギター演奏家、カネッチやクエンカ兄弟とお食事をしたり、ギター教室の生徒さんとパーティをしたりするときには、みんなが満足するこの店を選ぶそうです。創業25年だそうで壁から天井まで色々な人のサインや落書きで埋め尽されています。店に入った時の挨拶から、お料理の注文から店内にはスペイン語があふれています。このテーブルだけ?

 

エビアンが通訳役をしていたカネッチのコンサートは池袋で、クエンカ兄弟のコンサートは大倉山記念館で、ファンホドミンゲストリオは中野サンプラザで聞きました。
 13日間のスペイン旅行を3万3千字の文にしてホームページに載せました。

「そうですか、それはすごいですね」

スペインは楽しかった。

「そうおもえるのはいいですね」

スペインに感激した。

「そうですか。わたしはふつうなのでぜんぜんいいとは思いません」

と言いきる。

そんな言葉にも笑っちゃいます。

スペインへは何度も行っているので、嬉しいだの幸せだのの感情は無いそうです。また明後日から19日間行くと言っていました。演奏会をしてからカネッチとうさぎ狩りをすると言っていました。そして今向こうに行っているビビアンと、向こうで暮らしている娘さんと年末を一緒に過ごすと、これは毎年の恒例ですと言っていました。国際的な家族です。

 「それはサンタンデルとご主人がいつも泊まるホテルの中間にある店ですか?」

向こうで美味しいお店を教えてくれて、スペインの話がまるで日本のどこかの街角の話をしているように通じるのは私には驚きと快感なのですが、たんたんと「そうです」と言ってホテルの話やパエージャがおいしい店の話をしてくれます。

 

 

 

22歳の頃、5年間留学し、帰国後はコンサートやギター教授活動を続ける傍ら、音楽雑誌への執筆CD解説も行う。現在は国内はもとより、ヨーロッパ各国、トルコ、南米などで多くのコンサートをもち、各国の主要国際ギターコンクールの審査員も勤めている。著書、CD多数あり』
という人です。マリア・エステル・グスマンと競演しているCDを頂いてしまいました。

 

お料理はハモンセラーノ(生ハム)、ガンバス(エビのなんとか)や、スパデアホ(ニンニクスープ)、バゲットのおかわりがどんどん出てきます。パエージャまでにもう食べられなくなってしまった。一口だけ食べてみたら非常に美味しかったのに。

 

 

 

スペインでお世話になったバージェという人がいます。その昔レストランを経営していたのですが、

「バージェ(人名)はお料理は上手だがパエージャ(料理の名前)はへただ」

と言いました。おいしさにも上には上がいるということでしょうけれど、スペインで私達を迎えてくれたときのチーズケーキも、オリーブ、ムール貝、イワシフライ、白身魚フライ、マリネー、もう一つの貝それにレモン、ほんとにおいしかったことを思い出した。そして バージェがバルコニーで栽培しているミント入りテ(紅茶)も。

 

オリビアが質問をした。

「空港からタクシーでホテルまで行くときになんて言ったらいいですか?」

「通りの名前を言えばいいでしょう。またはホテルの名前だけでも大丈夫ですよ」

「プラド美術館のあたりを通ればすぐソル広場でしょう」

とそこで私が言ったら、

「それでは永久に着けないでしょう」
といわれてしまい大笑いしました。

 

ペセタからユーロに変わったスペインでは、三菱銀行のキャッシュカードが一枚あれば便利だとか。トラベラーズチェックに換える必要もなく、レートの換算もなく、手数料もなく(?)カード一枚でオーケー。そして銀行の中でも“三菱”が金額の余裕もあるそうな。勉強になりました。『World View』「モラーダボルサ=マルケ・ス・ピン」

 

 

 

「スペイン旅行で一番よかったのはどこですか?」

と聞かれて

「トレドもいいし、フリヒリアナもいいけど・・、やっぱりアルムニェカールです」

オリビアと声が揃った。海もいいし、夜もいいし、朝もいいし・・。

 

帰る道すがらオリビアが聞いた。

「スペインと日本どちらに住みたいですか」

はっきりときっぱりと答えてくれました。

「それは日本」

だそうです。理由は、たまに行くならいいが、住むとなったらやっぱり日本、とか。

 

「・・ふー、今日も夢のようだったね」

降って湧いた、わけがわからない集まりに、渋谷駅の階段を上りながら言いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

  

PS

看護学校を卒業するエビアンに「3月の春休みにスペインに行くけど一緒にどう?」

と誘われちゃった・・。うーーーむ。うーーーむ。うーーーむ。  

 

先日は渋谷でいつものようにとっても楽しかったですね その気になったらいつでも電話してください。又お会いしましょう。With loveとエビアンからの年賀状です。

うーーーむ。うーーーむ。うーーーむ。