ローズサミット（同窓会30）

夏が終わった途端に寒さが増した気候になった今日、隣町まではバスで行くことにした。

七分袖のジャケットでは上着から出ている腕が寒い。冬仕様のスカーフを持って来て良かった。バスを降り南北の連絡口を通る。発起人のＨ田さんがひとりでベンチに座っていた。電話にでられなかった時期のことをひと言ふた言話した。何度も電話して悪かったと言われ最初に会えて話せてよかったと思う。そこへＫ林さんがＯ合さんが来てＮ村さんが到着した。そして車をどこかの駐車場に置いてきたという３０年ぶりのＦさんが来た。車で子供を幼稚園へ送迎していた、そんなところも変わっていなくて不思議なくらいだ。

場所を予約していないということで、Ｎ村さんと私で相談し張り切ってこの町を歩きだす。この奥さんとは数年前レストランへ行きおいしいお料理を食べ私のスキなレストランでお茶をした。その時、中国土産のアメジストブレスレットと香港土産のマーカサイト指輪を交換したりしたな。数年に一度会っていたのだが、ここのところ大分ご無沙汰をしている。

レストランに落ち着き昔話に花が咲く。私が隠し持っているエッセイの内容についても思い出しながら話している。そうそうそれも書いてあるぞ、と思いながら聞いている。ウチのショートケーキがおいしかったとスポンジがすごくふわふわしっとりしておいしかったと７回も言ってくれたぞ。遅れてくる『もうひとりのＫさん』が来たらエッセイを披露しようと思っている。

そうこうしていると冊子が回ってきた。Ｏ合さんが書いた童話の本だ。りっぱな装丁で枚数もある。かわいい絵も添えてある。内容は子供に見せたいなと思うようなペットと子供の優しい心がテーマだ。自分の気持ちや考えが人生の中で形になるというすごいことをこなして、楽しそうに笑っているＯ合さんがいた。

Ｈ田さんがひとりひとりに袋を配っている。手にするとふっくらしたおいしそうなた梅干しだった。今年作ったという自家製の代物だ。病気で朝がつらいというＨ田さんが手間と愛情を掛けて作った梅干しをありがたくいただいた。Ｈ田さんは昔の写真も持ってきてくれた。それはＦ屋宅で撮られたもので、親、子、妹、弟、ほぼ全員が写っているものだ。大人になった子供の写真や結婚式の写真、スマホで見せてくれる孫の写真へと続く。

「うちの３歳４か月見る？」

と言ってみた。

「見せて見せて」

私の携帯を操作してある写真を出した。そこにはジルが、黒猫ジル様が、いたのでありました。

「なあんだ」

と言われちまいましたが。

薔薇の話が聞こえる。するとＫ林さんＮ村さんＦ屋さんなど皆反応する。薔薇の品種だか聞いたことがない名前がとびかい、そしてスマホを出し写真を探している。のぞくと薔薇の写真がずらーっと並んでいる。どうやら庭がある人は薔薇の花に夢中になるみたいだ。枯れた植物が並んでいるＩ坂宅、うちのベランダが頭に浮かんだ。

遅れてくるもうひとりのＫさんが来たところでエッセイを配った。私は昔、料理メモをとっていてパーティごとの料理を記録していたので、思い出と共にメニューもレシピもあるのです。しかし断捨離精神の下、内容をすべて写しひとつのエッセイに仕立ててからノートを捨てたのでした。

「Ｎ宅ってだれ？」

「もうひとつのＫ宅って？」

「Ｍ宅って松本さん？」

「Ｉ宅って？」

「それはウチ！」

校庭のような広い庭のＦ宅が、庭の一角を売りそこには１６軒の家が建つとか、相変わらずのスケールを聞かせてもらった。Ｎ宅も引っ越した跡地に数十軒が入るダイヤモンドマンションが建ったもんだ。さすが子供を名門幼稚園へ通わせる家庭はちがうな。うちはたまたま紛れ込んだ貧亡人だ。

私は仕事へ直行するので欠席したが、このあと幼稚園へ寄るという計画を新たに二人メンバーを加えてこなしたようだ。Ｈ田発起人が、数年後立ててくれるであろう計画をおとなしく待っていよう。

その日のブログ

【３０年ぶりの同窓会。なんと。ケーキ作りをしていた昔話に花が咲き、懐かしくひととおり話してから、遅れてきた一人を待ってこのエッセイ『２００１ウィザード』「パティシエ」を見せた。それはいろんな家での料理や様子が書いてあり、皆を驚かすのに十分なものだった。スマホで子供や孫の写真を見せてくれたり、写真を持ってきて見せてくれたりした。Ｈさんからは手づくり梅干を、本を出版したＯさんからは童話の本をいただいた。一瞬にして昔に戻った。楽しかった。】2012/10/17魔女のくらしよう