マジックインキ

色はトルコブルーがいいと思う。

テレビのアイススケートを観ながら思う。何気に派手なこの色を使いたいな。きっとリンクに映えると思うから。

私の好きな色はなんと言っても紫色だけど、こんな時は紫でなくトルコブルーのシフォンにスパンコールの衣装にする。

ピンクと赤にスパンコールびっしりもいいな。もうちょっと若ければ、そしてスケートができたら、大会出場の技量があったらの話しだが。

先日バーにいた私は涙ぐんでしまった。

その日は職場の忘年会で行きつけのバーが会場だった。つい最近もスペイン関係のお友達を招待して喜ばれたバーだ。オードブルから魚、ラム肉までお料理がおいしい。そしてガジェリー生ビール　白・赤ワイン　ウィスキー　カクテル　ソフトドリンクなど飲み放題だ。

薬剤師と事務、それぞれ二か所の人たちが徐々に集まってきていた。日々、薬剤師はローテーションを組んでいろいろな人と会うが、パソコン入力をする事務はひとりなので、又、午前午後と担当もあるので事務同志が会うことはほとんどない。会うとしたら、たまにある勉強会や、私が仕事中にもう一人の事務係が子供の薬をもらいに来たりしたことがあったくらいだ。

「お久しぶり、あまり会えないね」

「そうですね」

と言いながら何かを思い出したように話し出す。

「でも、いつも感じていますよ」

それはどういうことかと思っていると聞かれた。

「I坂さんは紫色がすきなんですよね」

「うん、すきだけど」

不思議に思っていると

「鉛筆立てに紫色のマジックがありますよね」

「あるある・・・ううう」

あまり出番もないあのマジックだけどそばに置いておきたいと思ったので鉛筆立てに入れていた。それで、あの細い紫色のマジックで私を感じてくれているなんてと驚いて感激してしまった。

「どうしたの。なんで泣いてるの？」

T先生にいち早く言われる。

「なになに、誰が泣いてるって？」

「どうした、どうした」

向こうのテーブルからも声がする。

紫色の細いマジックの横でパソコン入力しているその人とは、先日、私が同窓会から帰り、鍵を忘れて家へ入れなかった時、助けを求めたT先生がいた喫茶店でも会っていたな。

今回は忘年会終了後、カクテル数種を頂きカラオッケイへ行った。