マクベスの手紙
高校二年生のときだった。少し小さなどこにでもいる普通の女の子だった。
ただひとつ、友達の彼女だということを除いては・・・・・。
正直、いつから好きになっていたのかは分からない。毎日学校に行くのが楽しくてしかたがなかった。話をするだけでうれしかった。幸せそうな君をみるだけで・・・・・・。
だが、そう長く幸せは続かなかった。僕はこのとき、出会いがあれば別れがあるということを激しく痛感した。僕はその友達を心から憎んだ。二度と顔を見たくないし、話もしたくないと思った。今思えば幼い考えかもしれない。彼も彼なりに考えて出した結論なのだろうから、少しずつであろうとも受け入れてあげなくてはならないのだろう。
この出来事をきっかけに、僕は自分の本当の気持ちに気付いた。僕が彼女を幸せにしてやりたいと。だが、その「好き」の一言が言えなかった。今までの関係が壊れるのが恐かった。正直、彼女の中で僕が友達以上（彼）になれる自信もその時はなかった。ただ、それでも彼女のためなら何でもしてあげたいと、心から思った。僕は笑ってる彼女が好きだから・・・・。
自分の彼女にしたくなかったと言えば嘘になる。うまく言えないが、彼女に逃げ場を作ってあげたかった。かっこよく言えば、どんな形であろうと、彼女の力にはなれると思った。本当はただ、自分の気持ちから逃げているだけなのに・・・・。
それに気付くのはずっと先のことだった・・・・。
月日が経ち、彼女は再び幸せを手にした。毎日楽しそうだった。本当は悩み、苦しみもたくさんあっただろう。けど、それ以上に嬉しさが大きかったからだろう、僕の目にはそう映った。
「マクベスにも幸せになってもらいたい」。
嬉しいような、悲しいような、複雑な心境だった。
僕も彼女を作った。しかしどこかで彼女と比べてしまう。そして別れがやってくる。
あの時言えなかった「好き」という言葉。それが良かったのか悪かったのかは、僕にも分からない。ただ、今言って彼女の幸せを壊すことになるのも嫌だった。そのとき僕は、一生言わないようにと心の奥底にしまった。
２００４年５月１０日 ２４回目の誕生日を祝うように彼女の携帯にメールを送った。いつもなら返事がくるのに、この日は来ない。誕生日だし、きっと大切な人と過ごしているんだろう、そう思ってた。
午後６時頃、僕の携帯が鳴った。普段あまり見ない名前だった。
「彼女が亡くなった」。
意味が分からなかった。何度も聞き返した。それに追い打ちをかけるかのようなキャッチのあらし。皆同じことを言う。だんだんとリアルに伝わってくる。
半信半疑のまま、次の日に自宅へ行った。
彼女は寝ていた。
まだよく分からない。
手にふれてみる。
冷たかった。
そのとき、現実がみえた。
なにもしてやれなかった。結局彼女に逃げ場を作ってやることができなかった。苦しみに気付いてやることができなかった。色々な後悔が込み上げてくる。あの時、もし言えていたなら、何か変わっていたかもしれない。僕の最後のわがまま、どうか聞いてやってください。
「Ｍちゃん、君の事がずっと好きでした。必ず幸せにします。付き合って下さい」
いずれ返事を聞きに行きます。考えておいて下さい。
いつまでも、いつまでも大切な存在です。いつでも頼ってください。
僕は笑ってる 「 ○ ○ Ｍ 」 が大好きです。
2004..02.26. Macbeth