Ｍぃちゃんの仕事

花を買ってから車に乗り込む時、Ｍぃちゃんのバックが目に入り、おって思った。それを触って言った。

「これ、いいじゃん！」
さりげない蛇柄で、丁度いい大きさで、いいデザインだ。
「これまりあさんに貰ったものだよ３０年前に。」
完全に忘れている。バンブーが付いていたが持っても肩に掛けても痛いので他のバッグのベルトを付けたと言う。持ち手がバンブーなんてなんて魅力的なんでしょう。流石の私だ。

彼女は作業員の中で女一人の職場で働いている。
経理から留守番から自宅が遠い社長の洗濯物もしているという。オールマイティで仕事を任されているようだ。主人の妹である彼女はもうすぐ年金が貰える年になるが、子供もいないし結婚もしていないので会社にとってはありがたい存在なのだろう。会社で珈琲の設置をし、ラクになったとも。珈琲はレフィルのいらない方法を知ったバリスタが便利だ。『2006celticmandala』「バリスタ」

実家に二週間に一度通い両親と兄の３人が住む家の雑用もこなす。長兄は東京に家族がいるが、次兄は離婚をし両親の世話をしながら実家で暮らしている。彼女は働き者だ。風呂掃除や換気扇掃除や家の諸々の事をこなす。

時は流れ二年半前、次兄はすべてを義妹に任せて亡くなった。
一人残されたお母様の世話をするために東京を引き揚げて来た長兄夫婦が実家で暮らし始めた。

『何かして欲しいことある？』

私は言うね。

『あるっちゃあるし、ないっちゃないし。』

この家に、正月、法事、ＧＷ、お盆、お彼岸、など、二ヶ月に一回見当で集まるこの頃だ。と言っても総勢４人だが。そのたびに家の仕事を何かして行ってくれるＭぃちゃんとは、この家の相続人である義妹だ。義妹はひとりで他県のマンションに住み今でも仕事を続けている。

庭に小屋がある。そこはお父様のアトリエだった。大きいイーゼルがあり絵の教室をして近所の人が集まったりもしたそうだ。その後義弟のジムになった。まだジム器具があるが、二年前からそこは私のタブラオになっている。去年修理もした『2016celticmandala』「小屋」。

その小屋の中のレイアウト変更、小屋全面に敷かれていたカーペット取り外しなどの力仕事。12帖見当の小屋の３方向にある窓拭き、隣の空き地から竹が伸びてきた裏の草取りなど一人では出来ないこと。雨戸の戸袋のハチの巣取り、古い花壇の台を壊しまとめるなど私には出来ないこと。私としては綺麗に思える二階和室の障子張り替えも、朝、私が起きる前に終わっていたこともあった。気になっている所はないかと聞きすぐ行動に移す働き者だ。

お父様お母様義弟が住んでいた頃は、二週間に一度訪れて掃除などのお手伝いをしてくれていた。義弟の入退院時、仕事帰りにこの家に毎日通いお母様のお世話をした時はさすがに痩せてしまって心配もした。義弟が亡くなってお母様のお世話の為に転居を決心した私達夫婦だが引っ越し寸前に入院していたお母様はここへ戻ることなく亡くなってしまっていた。

今回は額絵を移動してくれた。

お父様の描いた画だし、家のレイアウトなども私の思うようにしてくれていいのよと言ってくれるが、私には少しの遠慮があるのだ。二階のロビーに飾ってあるお父様の絵、その中から額が金色ではないものを選んでいた。壁紙の破れ隠しに小屋の壁にねじを差し込んでくれて百合の絵が飾られた。

先日は母の日＆手術『2017samhein』「俎上の鯉」を頑張ったご褒美の行事に、叔母の日としてめいに招待されホテルオークラ

『2015voodoo』「オークラランタン」での薔薇の行事を楽しんだようだ。

気をよくして後日、二階ロビーにあったシクラメンの額絵を百合の右側に飾った。